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Ogni giorno sara` sereno!

Ogni giorno sara` sereno!

山・お出かけ編 ~ L'Aquila

実質最終日のこの日・・・山バカンス中いつどこへ行くかは現地で適当に決めていたのだけど
最終的に最終日に残ってしまった、州都・ L'Aquila(ラクイラ)
州都でありながら、なかなかマイナーなこの都市が 2009年4月の大地震 によって皮肉にも有名になってしまったけど
私は地震の起きる前から、 イタリア小さなまちの底力 を読んでから行ってみたいと思っていた。
しかし、この大地震で、この本を読んで思い描いていたラクイラを見ることはできなくなっていた・・・

当日の朝、アグリでもらったラクイラの地図を広げながら、ジュゼッペとノエミにいろいろ聞いた。
歴史的地区には入れるよね?通行制限はある?車はどこに停めたらいい?教会など見られるものは?
歴史的地区で入れるのは、ここ、メインストリートとその中にあるドゥオモ広場だけだよ、とジュゼッペ。
いや、最近サンベルナルドに行く道も入れるって聞いたよ、教会は入れるのかな?
あと、はずれにあるサンタマリアディコッレマッジョはオープンしたらしいけど・・・とノエミ。
え、たったそれだけ?? と私とダンナは顔を見合わせる。
そう、それだけ。だって地震直後からほとんど何も変わってないんだから。
あ、私、99の噴水が見たかったんだけど、あれは・・・あれは、崩壊しちゃってシートがかかってるよ。
え・・・じゃ、ほとんど何も見られないって事・・・? とやや呆然気味な私たちに、ジュゼッペが真剣な顔で言った。
唯一見られるのは、ラクイラの現実だよ・・・いや、真実、かな。
何だか行くのが怖くなった私の顔を察したのか、ぜひ見てきてくれ、とジュゼッペは微笑みながら私の肩をぽんと叩いた。

アグリから車で30分ほどしてラクイラには近づいてきたけど、土地勘はないし、
通行制限などもあって、今どこを走ってるのかも定かでない。
すると心の準備もないままに・・・ニュースで見た同じ景色に囲まれていた。

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崩壊したマンション ・・・私たちの走っている道の両端全てがゲートで封鎖され、中はまだ瓦礫だらけ。
ガードには亡くなったと思われる方の写真、献花、そして抗議などの横断幕、手紙、などが貼られていた。

重苦しい空気に潰されていると、自衛隊のトラックとゲートが開いている部分を発見、
そこが歴史的地区に入れる入り口だったが、地図を追うのが遅すぎて、
通行制限がある中でわき道にも簡単に止まれず、駐車ポイントから遠ざかってしまった。
一方通行で他に行ける道もないので、そのまま走っていると、右側に大きなシートがあり、
まさに私が見たかった99の噴水の写真が・・・そう、ここが 99の噴水のあった場所
通りすがりに断片的に見た文字からすると、スポンサーがついて復興されるようだった。

そのまま行くと、また両脇に倒壊したマンションが並ぶ道に戻ってきたので、通行ポイントがある場所を通り過ぎ、
地図で見ると、ノエミが開いていると言っていた サンタマリアディコッレマージョ教会 が近いので
そこを先に見てみようと、教会のある広場の前で車を停めた。

広い砂利の広場の奥から見ると、美しいファザードとそのたたずまいから、
被害に受けたという感じは全くしない・・・が、中に入ってみると。

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壁にはヒビが入り、柱はすべて保護材?でぐるぐる巻き。祭壇の前の天井は丸ごと落ちてしまったっている。
クーポラの内側にもヒビが入り、祭壇を囲む大理石の柵もひび割れてたり上から落ちた物で破壊されていた。

この後、マニーノの機嫌が悪かったので教会横にあった公園で少し遊ばせ、
私たちも少し気分転換をしてから、今度は歴史的地区へと向かった。

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これが歴史的地区へ入れるポイントで、自衛隊が警備を行っている。
私たちと同じようにバカンスでアブルッツォへやってきた人なのか、地元の人か分からないけれど
ここへ足を踏み入れにやってきた人が少なからずいた。

ここはメインストリートのフェデリーコ2世大通り。
しかし、銀行や数軒お店は開いているものの、ほとんどは閉まったまま・・・

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小学校?の建物の正面にあった希望の木が少し和らぎを与えてくれる。

そして、 ドゥオモ広場 ・・・ニュースで幾度となく見た、あの場所。

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1年3ヶ月前と変わらず、ドゥオモの前には Protezione Civile(市民保護部隊)の白いテントが構えており、
“Riprendiamoco la citta`(町を私たちの手に取り戻そう)” のスローガンが。
しかし、それが虚しく見えるほど、1年3ヶ月経ったこの時でさえも、町が元の姿に戻るイメージが全く湧かない現状。
それが、ジュゼッペが言った ラクイラの現実、いや、真実・・・

ドゥオモ広場にある、 サンタマリアスッフラージョ教会
クーポラが全て崩れ落ちて、震災の報道でも何度も目にしたこの教会に入ってみる。
するとやはり、崩れ落ちた場所、祭壇の前で簡易の壁が設置されていた。
どこでどういう寄付をしていいのか分からないので、まずはこの教会にいくらか寄付をする。
メインストリート脇の建物は足場?が組まれているものの、修復準備というよりも崩れ落ちるのを防ぐ為。

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フェンス越しから見えるがれきの山。まさに震災直後の状態から変わっていない・・・
数箇所から工事の音が聞こえるものの、この崩壊を立て直すのであればあっちこっちから
この音がうるさいくらいに聞こえるべきものが、あ、ここでは何かしてるのかな、程度。
1年3ヶ月何もしてないも同然なんだから、工事が進んでいないのは明らかだけど・・・

崩壊した町の様子と同じくらい目に焼きついたのは、この状況に対する 怒りの張り紙
左上のビラは、この日の前日にアグリのジュゼッペも参加したローマでのデモのビラ。
復興のためのSOS、税金徴収の中断、雇用、経済的援助など被災者の救済延長などを求めるとともに、
プロパガンダと検閲はもうたくさん、正しい情報提供を! という一文も・・・

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実際、TVを初めとする メディアに対する批判 の張り紙がたくさん。
ベルルスコーニ首相のメディアセットのチャンネルが政府に批判的なことを報道しないのは分かっていたが
国営放送やメディアセット以外の民放チャンネルにも非難の先が向けられていた。
実際、TVで見る震災後の復興活動は政府も行政も民間も頑張っているというものばかりだし、
震災直後に行われたG8ではベルルスコーニの自己満足で終わったようで・・・
ダンナ同僚の親戚が被災したのだが、ただでさえ通行制限などで不便な生活を送っているのに
G8の開催による規制で、スーパーへ行く唯一の道さえも通行制限になったらしい。
まさに 地元の現実をいかに分かっていない か象徴するような話である。

しかし、ジュゼッペがこの1年3ヶ月感じていることもまた真実:
被災して何もかも失って、復興が進まない第一の原因は政府の無政策であるけれど、
被災者も怒りをそちらに向けることばかりにやっきになって、自分たちで自分たちの生活を、
自分たちの町を建て直そうという気持ちを失っている
、と。
それがなければ、たとえ政策を実施しようとしても文句ばかりで 本当の意味での復興にはなりえない 、と・・・

フェンスに囲まれたメインストリートだけの散策は、30分ほどで終わった。
唯一の救いは、ドゥオモ広場近くのピッツェリアの “本日再オープンセレモニー” という看板。
こうして何とか震災前の活動を再開する人、店が少しでも増えることを願わずにはいられない。

歴史的地区を出て、駐車した近くのバールで軽く食事をして、ラクイラを後にする。
予想以上にラクイラでの時間が早かったので、どこへ行こうかと話ながら車窓を見ると・・・

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被災者用の新しい住宅が並ぶ地区。
“政府がやったことの中で唯一の評価できるもの” と皆が皮肉をこめて言うものだ。
ここだけ見ると、日常に戻り、復興は終わったようにさえ見える。
もはやメディアにも取り上げられることもない、町の復興が放棄されたことを忘れてしまいそうなほどに・・・

さて、最後の日、あと半日をどうしよう。
私個人的には スカンノ まで行ってみたかったけど、時間的にも無理そうなので
スカンノに行く手前、高速出口のある Surmona (スルモーナ) まで行って見ることにする。
全く予備知識なくスルモーナに行ってみたところ・・・

abruzzo-surmona.jpg

コンフェッティ(アーモンドを砂糖でくるんだお菓子) で有名な町だそうで、町中コンフェッティの専門店だらけ!
ただコンフェッティを売ってるのではなくて、カラフルなコンフェッティで作られた花、虫など
見ているだけで楽しいものがいっぱい~!

・・・が、これらのお店以外は何がどうと言うわけでなく(苦笑)、
ちょっと散策して、ジェラートを食べ、COOPで明日の長い帰り道でのお菓子や飲み物をかい出して終了!

これにて長いアブルッツォバカンスも終了~!
今回初の試みの、 同じ州内で海&山をいっぺんに 、は、小さい子連れの私たちにとっては
移動時間も少なく(海と山別々で行くよりは効率的)、子供も楽しめることが分かったのが大収穫!
次回のバカンスも同じ形態にしようとすでに心は決まってますが、どの州でそれが可能なのか、
また未踏の州に足を踏み入れる事ができるのか・・・考えるのがまた楽しみです♪



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